【開運さんぽ・パワースポット】
富士塚で富士登山(1)

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自分で登って富士山を拝む富士塚

 東京には富士見という町名、坂や橋の名前がたくさんあります。元々は富士山を望むことができたからこの名が付いたのでしょうが、今は高い建物が増えてしまって富士山を見ることは難しくなってしまいました。今でも天気の良い日にちょっと高い所に登れば、遠くに富士山が見えますが、江戸時代には当り前の光景だったでしょう。
 その富士山をご神体として崇める富士信仰において、浅間神社のような神社を創建するだけでなく、町の中に作られたのが富士塚(ふじづか)です。

 本来は実際に富士山に登って参拝をするのですが(登拝)、江戸など遠方に住んでいる人々にとっては移動するだけでも大変です。皆でお金を出し合って代表者が富士山まで行く富士講はありますが、行ける人は限られます。
 そこで町の中に人工の山や塚を造り(あるいは古墳などを利用)、富士山に見立ててたのが富士塚です。山頂まで登山道が設けられ、五合目などの道標があり、頂上まで登れば本物の富士山を望むことができました。浅間神社の祠も鎮座しています。
 さらに途中に烏帽子岩、山裾に胎内洞窟などの付属物を設けて、富士山をなるべく再現しようとしました。わざわざ富士山の溶岩を持ってきて積んだり置くこともあります。
 高さは数m〜10数m程度。これなら老若男女誰でも冨士登山でき、富士山を拝むことができます。

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今も都内にたくさん残り、登ることも可能

 最古の富士塚は、江戸中期の1780年(安永9年)、富士講を信仰していた高田籐四郎が、現在の早稲田大学キャンパス内に建てたとされます。
 富士信仰の広がりと共に富士塚もたくさん作られ、中でも「江戸七富士」が人気になりました。

江古田富士………茅原浅間神社[東京都練馬区小竹町](高さ約8m)
豊島長崎富士(高松富士)…富士浅間神社[東京都豊島区高松](高さ約8m)
下谷坂本富士……小野照崎神社[東京都台東区下谷](高さ約6m)
品川富士…………品川神社[東京都品川区北品川](高さ約15m)
千駄ヶ谷富士……鳩森八幡神社[東京都渋谷区千駄ケ谷](約6m)
十条富士…………十条富士神社[東京都北区中十条](高さ約6m)
音羽富士…………護国寺[東京都文京区大塚](高さ約10m)


 その後、富士講は衰退し、土地開発などのために破壊されたものの、現在でも東京都には約100ヵ所を越える富士塚が残っています。さらに千葉県、埼玉県など関東一帯はもちろん、長野県、愛知県、岐阜県、三重県の方まで富士塚は存在するそうです。
 現在、都内で現存する一番古いものは鳩森八幡神社の千駄ヶ谷富士で、都の有形民俗文化財。
 また、上記の江古田、豊島長崎、下谷坂本の3基と、埼玉の1基(木曽呂の富士塚[埼玉県川口市東内野594-1])が、国の重要有形民俗文化財に指定されています。

 富士塚の多くは、崩壊の恐れがあったり事故防止のため、通常は登山禁止。富士山の山開き(7月1日)に合わせたり、お祭り期間など特定日だけ公開しているところがあります。
 ちなみに、鳩森八幡神社の開山式(冨士浅間社例大祭)は毎年6月3日。十条富士神社の御朱印は山開きの時のみ領布。富士浅間神社に御朱印はありません。

 間もなく山開き。本物の富士登山がなかなかできない方は、富士塚を登りに行ってみてはいかがでしょう。

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