【開運さんぽ・参拝作法】
お寺で拝むときの言葉

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●お寺の参拝ではお経をあげよう
 お寺でお参りする際は、手水舎で身を清めたり、お線香を上げることはありますが、神社のように二拝二拍手一拝のような作法はありません。私たちは手を合わせて(合掌)、静かにお祈りすることが多いと思います。

 一方、法事や葬式、自身の修行のとき、お坊さんは「お経」を上げます。お経とは、釈迦が説いた教えを記録した経典(きょうてん)のことで、仏典(ぶってん)とも言います。
 経典にはたくさんの種類があり、昔のインドの言葉(サンスクリット語など)から中国語に翻訳され、訳も多種あります。
 有名な般若心経(はんにゃしんぎょう:般若波羅蜜多心経)は、全600巻もある大般若経(だいはんにゃきょう)を、本文300字ほどに凝縮したもので、短くても大乗仏教の心髄が説かれているとされます。真言宗、天台宗、法相宗、禅宗など多くの宗派で使われていますが、内容の解釈は宗派によって多少異なるそうです。

「般若心経」冒頭部分
観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄……

 例えば、四国八十八カ所巡礼では各霊場の本堂で、般若心経や後述するご本尊の真言など、いくつかのお経を声に出して唱えます。そして、札所で“お経を唱えたり”“写経を奉納した”印に頂くものが、納経(御朱印)です。

 お経は宗派によって、中心となる経典が異なります。数珠や供物、法事のやり方など、細かい所作作法に違いがありますので、自分の家の菩提寺が何宗かは知っておきましょう。お葬式などのときに違う宗派のやり方でやっては、困ったり失礼になることがあります。

 もちろん、私たちがお経のすべてを学ぶ必要はありません。しかし、観光やパワースポット巡りでお寺に行ったときには、せめてそこのお寺が何宗かを確認して、これから説明する念仏や真言を唱えて、きちんと参拝したいものです。


●浄土宗・浄土真宗では「南無阿弥陀仏」
 浄土教系では合掌して、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」と念仏を唱えます。「南無阿弥陀仏」とは仏様の名号で、「私は阿弥陀仏へ帰依します」という表明の意味があります。このように、仏の名を唱えて讃えることを称名念仏(しょうみょうねんぶつ)と言います。

 平安時代末期〜鎌倉時代初期、浄土宗の開祖である法然は、「南無阿弥陀仏」と称えれば、善人悪人、老若男女、貧富の別なく、阿弥陀仏はすべての衆生を救うと説いて回りました。法然の弟子である親鸞(浄土真宗)も念仏を重視しました。


●日蓮宗では「南無妙法蓮華経」
 妙法蓮華経を教典とする法華宗(ほっけしゅう)では、「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」という題目(だいもく)を唱えます。
 「南無妙法蓮華経」は「法華経(妙法蓮華経)の教えに帰依する」という意味です。日蓮はこのお題目を唱えることを重要な修行とし、「南無妙法蓮華経」と繰り返し唱える修行を唱題(しょうだい)と言います。


●天台宗では「南無妙法蓮華経」「南無阿弥陀仏」ほか
 天台宗は顕教と密教の二面があり、法華経を根本に般若経、浄土教、阿弥陀経など多くの経典を使います。お務めの際、朝は「南無阿弥陀仏」、夕方は「南無妙法蓮華経」と念仏を唱えるそうです(朝題目、夕念仏)。密教系の真言も唱えます。


●密教系では仏尊ごとの「真言」を唱える
 空海が開いた真言宗では、真言(しんごん)を唱えます。真言とは「(仏の)真実の言葉、秘密の言葉」という意味で、元はサンスクリット語の「マントラ」から来ています。

 真言は経典(般若心経など)の中にも出て来るもので、真言宗だけのものではありません。1つの特定の言葉ではなく、仏尊ごとにたくさんの真言があり、さらに経典によって同じ仏尊が複数の真言を持っています。
 真言は3回繰り返します。この時、仏様の言葉ですので、正確に唱えることが大切です。でも意味が分からない難しい言葉ですので、覚えられないときには、守護本尊の名前に前に「南無(なむ)」を付けて、3度唱えてもいいそうです。
例;「南無 千手観音(なむ せんじゅかんのん)」「南無 千手観音」「南無 千手観音」
(以下の読みの表記は微妙に異なることがあります。参拝する寺院でご確認ください)

【代表的な真言】
光明真言
オン・アボキャ・ベイロシャノウ・マカボダラ・マニ・ハンドマ・ジンバラ・ハラバリタヤ・ウン

心経
ギャテイ・ギャテイ・ハラギャテイ・ハラソウギャテイ・ボヂ・ソワカ

釈迦如来(しゃかにょらい)
ノウマク・サマンダ・ボダナン・バク 他

千手観音(せんじかんのん)※子年の守護本尊
オン・バザラ・タラマ・キリク・ソワカ 他

虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)※丑年・寅年の守護本尊
オン・バザラ・アラタンナウ・ウン 他

文殊菩薩(もんじゅぼさつ)※卯年の守護本尊
オン・アラハシャノウ 他

普賢菩薩(ふげんぼさつ)※辰年・巳年の守護本尊
オン・サンマヤ・サトバン 他

勢至菩薩(せいしぼさつ)※午年の守護本尊
オン・サン・ザン・ザン・サク・ソワカ

大日如来(だいにちにょらい)※未年・申年の守護本尊
オン・バサラ・ダトバン(胎蔵界)
オン・アビラウンケン(金剛界)他

不動明王(ふどうみょうおう)※酉年の守護本尊
ノウマク・サマンダ・バザラダン・カン 他

阿弥陀如来(あみだにょらい)※戌年・亥年の守護本尊
オン・アミリタ・テイセイ・カラ・ウン 他