【開運さんぽ・ご利益】
谷中七福神めぐり


●天海僧正とのご縁を感じる江戸の七福神
 2017年の年明けは、谷中七福神巡りに行ってきました。
 谷中七福神は北区、荒川区、台東区にまたがり、JR山の手線・京浜東北線の田端駅〜上野駅に沿って歩く七福神巡りです。250年の歴史があり、都内最古とも言われます。

 当日いただいた東叡山護国院の資料によると、七福神の生みの親は天海僧正だそうです。天海僧正は7つの徳を授けてくれる七福神を信仰していましたが、徳川家康が天下統一を果たしたとき、「寿老人の長寿、大黒天の富財、福禄寿の人望、恵比寿の正直、弁才天の愛敬、毘沙門天の威光、布袋の大量の御徳を表したものと云うべきである」と褒め称えました。これが元で七福神の絵が生まれ、七福神が宝船に乗った縁起の良い絵はまたたく間に全国に広まったそうです。

 谷中七福神には東叡山寛永寺自体は入っていませんが、護国院や不忍池辨天堂(弁天堂)は寛永寺の諸堂であり、天海僧正とのご縁を感じます。

 谷中七福神はすべてお寺だけです。

不忍池弁天堂(弁財天)台東区上野公園2-1
護国院(大黒天)   台東区上野公園10-18
天王寺(毘沙門天)  台東区谷中7-14-8
長安寺(寿老神)   台東区谷中5-2-22
修性院(布袋尊)   荒川区西日暮里3-7-12
青雲寺(恵比寿天)  荒川区西日暮里3-6-4
東覚寺(福禄寿)   北区田端2-7-3

 ご開帳期間は元旦から1月10日まで。各寺院の拝観は午前9時〜午後5時になっています。
 御朱印はありますが、色紙ではなく、七福神の絵の入った和紙になります(1,000円)。和紙への御朱印は200円。通常の御朱印は300円です。



●白龍山寿命院 東覚寺(福禄寿)
 今年の三が日も快晴! 今回は午後1時にJR田端駅をスタートにして、不忍池の弁天堂をゴールに目指します。

 田端駅前から南へ向かい、陸橋をくぐって右の細い道に入ると東覚寺です。駅から約10分。
 ここは真言宗豊山派のお寺で、創建は延徳3年(1491年)。立派な山門をくぐると、七福神巡りのためでしょう、本堂の入口に福禄寿像が祀られていました。

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 山門のすぐ前に「赤紙仁王」があります。お堂の前に2体の金剛力士像が立っており、自分の病と同じ部分に赤紙を貼ると治るといわれます。病が治ったときにはお礼として草履を供えるそうです。仁王像は全身赤紙だらけで、そのお姿が分からないくらいでした。

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●浄居山 青雲寺(恵比寿天)
 西日暮里に入ると荒川区です。住宅街の静かな道を西日暮里駅まで抜けると、すぐ青雲寺があります。臨済宗のお寺で、創建は宝暦年間(1751〜1764年)。
 道からさらに細い路地の奥に建っているので、入口がちょっとわかりにくいですが、境内に入ると意外に広いです。落ち着いた佇まいの本堂、左右に植わっているのはしだれ桜の木でしょうか。この一帯は江戸時代に「日ぐらしの里」と呼ばれていたそうです。

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 本堂入口に恵比寿天の像が祀られていました。御朱印は本堂右手の寺務所で頂きます。
 境内には滝沢馬琴の筆塚碑や硯塚などもあります。


●運啓山 修性院(布袋尊)
 修性院は青雲寺から数分、すぐそばにあります。白い壁に布袋尊のタイル絵が何枚も飾られているので、すぐわかります。日蓮宗のお寺で、天正元年(1573年)に今の練馬区南田中で創建され、寛文3年(1663年)に現在地に移転したそうです。

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 こちらは靴を脱いで、本堂に上がってお参りします。ご本尊がある内陣の豪華絢爛さにまずビックリ。そして、その左手に木造の布袋尊像「ひぐらしの布袋」が祀られているのですが、その大きさにまたビックリ! どっしりと座った様子は迫力があります。

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 修性院は青雲寺とともに庭園が美しく、花見寺とも呼ばれています。


●護国山 天王寺(毘沙門天)
 再び住宅街を進むと、約5分ほどで谷中ぎんざに出ます。「谷根千(谷中・根津・千駄木)」の商店街として人気で、観光客でいっぱいだったためスルー(笑)。谷中まで来ると台東区です。

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 天王寺と長安寺は谷中霊園をはさんで位置しており、案内図では長安寺が次だったのですが、先に天王寺へ向かいました。
 日暮里駅まで出ると、電車は崖のかなり下を通っています。つまり、上野のお山一帯は台地の端にあり、意外と高低差があることがわかります。崖沿いの細い道を登り、谷中霊園に入るとすぐ天王寺です。

 天王寺は鎌倉時代の創建。当時は日蓮宗でしたが、その後、天台宗に改宗しました。江戸時代の享保年間には富くじの興業が許可され大いに賑わったそうですが、1868年の上野戦争などですべて焼失してしまいました。
 境内は広く、毘沙門堂に毘沙門天の木像が安置されています。また、大きな元禄大仏などもあります。
 御朱印はモダンな建物の講堂(上善堂)で頂け、トイレなどもあるのでひと休みできます。

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●大道山 長安寺(寿老神)
 長安寺は臨済宗妙心寺派のお寺で、寛文9年(1669年)の開創。谷中霊園を抜けた反対側になります。
 境内はさほど広くなく、本堂に上がってお参りします。上がって左手、見上げる位置に座った寿老人像が祀られていました。等身大の寄木彫刻だそうですが、はじめは「なぜこんな場所に?」と思ってしまいました。この寿老人像は徳川家康公が納めたものといわれ、正月1日〜10日のみの公開です。
 御朱印は本堂内の右手で頂けます。

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●東叡山 護国院(大黒天)
 さらに谷中霊園の脇を通り、上野公園へ向かいます。上野桜木、谷中六丁目の交差点のあたりは古い建物が残っていて、ノスタルジーを感じる街です。約15分ほどで護国院に到着します。
 
 護国院は天台宗のお寺で、東叡山寛永寺の子院です。寛永2年(1625年)、天海僧正が東叡山寛永寺を開山したのと同時に、最初の子院として建立されました。

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 こちらも本堂(釈迦堂)に上がってお参りします。歴史を感じさせる本堂に上がると、ご本尊の釈迦牟尼如来の前に、大黒天が祀られていました。内陣に入って、すぐ目の前でお参りできるのは貴重な体験です。この大黒天画像は三代将軍家光から奉納されたといわれます。

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 堂内には壁一面に祀られた千体仏や、撫で仏のお賓頭盧様もありました。

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●不忍池弁天堂(弁財天)
 さて、ゴールの上野公園までもうすぐです。上野高校(昔は護国院の境内だったそうです)の隣りはもう上野動物園。さらに、明治の文豪、森鴎外の旧宅がそのまま残る水月ホテル鴎外荘を過ぎれば、不忍池の中央に弁天堂が見えてきます。約1kmで約20分かかります。

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 時刻は午後3時半。さすが上野公園は観光地だけあって、沢山の人で賑わっています。一般の参拝者や外国人観光客も混じって、弁天堂へ続く参道は長蛇の列。今回一番の混みようで、30分ほど並びました。
 弁天堂は東叡山寛永寺の御堂の一つです。お守り売場は本堂内にありますが、御朱印は本堂手前のテントになります。
 これで満願。お疲れ様でした。

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 谷中七福神巡りは、約4km少し越える距離で、ゆっくり回って約2時間のコース。今回は途中でいろいろ寄り道したので3時間かかってしまいました。ちなみにご開帳は1月10日までで、各寺院の拝観は午前9時〜午後5時になっています。
 お寺の前には青いのぼり旗が建っているのですが、途中の住宅街には案内がありません。御朱印の窓口や寺務所で案内地図(下図)をいただきましょう。
 また、谷中ぎんざや上野公園周辺にはお店や自動販売機がたくさんありますが、ほとんどが住宅街や霊園の中なので、飲み物などを持参すると安心です。
 のんびりした日暮里周辺と賑やかな上野公園の両方を楽しめる七福神巡りでした。

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