【開運さんぽ・神社】
江島神社

 相模湾に面した湘南は、夏に人気の観光エリア。その湘南のシンボルと言えるのが、藤沢市の海に浮かぶ江の島です。そして、江の島全体が江島神社の境内なのです。
 8月終わりの晴れた日、江島神社に参拝に行ってきました。

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●時代によって変遷してきた江の島の神様
 社伝によると、江島神社の創建は欽明天皇13年(552年)。欽明天皇の勅命で、御窟(現在の岩屋)に神様を祀ったとされます。文武天皇4年(700年)、役小角(えんのおづぬ)という修験者が、その御窟で修験道の霊場を開きました。弘法大師空海、日蓮聖人も修行したそうです。
 その後、弘仁5年(814年)に空海が岩屋本宮、仁寿3年(853年)に慈覚大師が上之宮(中津宮)、建永元年(1206年)に慈覚上人良真が下之宮(辺津宮)を創建。こうして江の島には3つの神社が生まれました。
 
 鎌倉時代、源頼朝が八臂弁財天を勧請。武士の間に弁財天信仰が広がり、江島大明神と呼ばれました。
 その当時は「戦いの神」として奉られていましたが、平和な江戸時代になると、弁天様は「芸能・音楽・知恵の神」「福徳財宝の神」へと変わり、庶民も江の島詣でに繰り出して大いに賑わいました。今も、安芸の宮島、近江の竹生島とともに日本三大弁財天と言われます。
 
 江戸時代初期、仏教習合によって金亀山与願寺になりましたが、明治時代の神仏分離によって神社に戻り、江島神社に。現在の奥津宮、中津宮、辺津宮という名前に改称されました。

 現在のご祭神は三姉妹の女神様で、合わせて江島大神と称します。それぞれ3つの宮に鎮座していますが、これは明治の神仏分離の際に改められたものです。
・奥津宮 多紀理比賣命(タギリヒメノミコト)
・中津宮 市寸島比賣命(イチキシマヒメノミコト)
・辺津宮 田寸津比賣命(タギツヒメノミコト)

 この三女神は天照大神が須佐之男命と誓約された時に生まれた神(宗像三女神)で、福岡の宗像大社や、広島の厳島神社と同じ神様です。


●ぐるり開運、江の島めぐりへ出発
 かつて江の島に行くためには、干潮時に歩いて渡るしかありませんでした。明治になると橋が架けられ、現在の江の島弁天橋は1964年に完成したものです。島に渡るという行為が、特別な気分を高めてくれます。

【青銅の鳥居】
 江の島の入口に立つのが青銅の鳥居です。これは三の鳥居なのですが、一の鳥居、二の鳥居はすでにありません。

 弁財天は金銭運、芸道上達のご利益がありますが、厄落としや災難除け、悪縁切りでも有名です。昔は「江の島でデートをすると別れる」とよく言われました。
 鳥居を通るときには、同行者と別々にくぐるのがいいでしょう。また、後ほど出てくる奉安殿で弁天様を参拝するときには、弁天様の前でイチャイチャしたり騒ぐのも避けます。

 
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【瑞心門(ずいしんもん)】
 たくさんの飲食店や土産物店が並ぶ参道を抜けると、朱の鳥居と瑞心門が見えてきます。瑞心門は龍宮城を模した楼門で、ご祭神の守護と参拝者の厄災除けのために、唐獅子の絵画が飾られています。

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【辺津宮(へつみや)】
 長い階段を昇りきると、辺津宮(下之宮)に到着。三女神の三女・田寸津比賣命(タギツヒメノミコト)を祀っています。現在の社殿は1976年の大改修で新築されたものです。
 右手に社務所があり、御朱印はこちらでいただけます。

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【奉安殿(ほうあんでん)】
 辺津宮の左手にある八角形のお堂が奉安殿です。八臂弁財天(はっぴべんざいてん)と妙音弁財天(みょうおんべんざいてん)が安置されています。これらはかつて、中津宮に安置されていたそうです。
 八臂弁財天は8本の腕があり、弓や剣、宝珠などを持っています。勝運守護の神様です。
 妙音弁財天は裸体で琵琶を抱えており、「裸弁財天」として有名です。女性の象徴をすべて備えた尊像といわれ、実際、真っ白で美しいお姿です。音楽芸能守護。
 こちらは有料で、拝観料150円(大人)。拝観時間は午前8時30分〜午後4時30分。

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【弁財天黄金浄水】
 階段を昇った左手にある池。弁財天の神使、白龍王の像が置かれ、この黄金の水は「健康」「開運」「声が良くなる」「美しくなる」ご利益があるとされます。
 銭洗い池として、ここで金銭を洗うと金運向上、財宝福徳のご利益があります。ちなみに賽銭箱は池の中にあり、小銭を投げて3回以内に入ると願いが叶うとか?

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【八坂神社】
 奉安殿の左手にあるのが八坂神社。三女神の父神である建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)を祀る末社です。隣りには稲荷社と秋葉社の2つの末社もあります。
 八坂神社の前には銀杏(イチョウ)のご神木があり、2つの幹が1つの根で結ばれているため、良縁成就の「むすびの樹」とされます。


●いよいよ江島神社の中心部へ

【中津宮(なかつみや)】
 細い道を約5分ほど歩くと中津宮(中之宮)です。次女の市寸島比賣命をお祀りします。1996年に改修されたので、社殿の朱色が鮮やか。天井の画や彫刻も見事です。
 社殿脇の庭園に入ると水琴窟があります。

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 中津宮を出て、右に大きく回ると、左手が亀が岡広場、右手に江の島サムエル・コッキング苑があります。江の島シーキャンドル(展望灯台)はこちらから入ります(有料)。


【江の島大師】
 さらに進むと江の島大師があります。そう、江の島にはお寺もあるのです。
 1993年に鹿児島市の最福寺の関東別院として創建されたもので、元々この場所には江の島館という旅館がありました。
 ご本尊は不動明王。赤不動と呼ばれる不動明王像は高さ6mもあり、室内の像としては国内最大です。


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【奥津宮(おくつみや)】
 海に崖が切り立った「山二つ」を過ぎ、細い階段を上り下りすること約10分。いよいよ奥津宮に到着です。

 三女神長女の多紀理比賣命を祀る旧本宮で、もっとも強いパワースポットです。手前にあるのは拝殿で、本殿はその奥になります。拝殿の天井には、江戸の絵師酒井抱一が描いた亀の画(レプリカ)が飾られています。どこから見ても亀と目が合うため、「八方睨みの亀」と呼ばれます。

 手前の石鳥居は源頼朝が奉納したものです。
 奥津宮の右手には、鎌倉四名石の1つ、亀石(亀甲石)があります。銀杏のご神木とともにパワースポットと言われます。

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【龍宮(わだつみのみや)】
 奥津宮の左手にあるのが龍宮です。龍宮大神(龍神)を祀り、大きな龍の像が乗っています。1993年に崇敬者の御篤志によって建てられたお宮だそうです。

 奥津宮と龍宮は、後ほど紹介する第一岩屋(岩屋本宮)の真上に建てられており、大きなパワーがあるとされます。

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●海に洗われる江の島の聖地、岩屋

 奥津宮を出て、急な石段を降りると、江の島の東端の海岸に出ます。大きな波が岩場を洗う光景が眺められます。稚児ヶ淵の前にはレストハウスやトレイもあります。

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【岩屋(いわや)】
 海岸の崖に波の浸食でできた自然の洞窟で、江島神社の発祥地。夏期は洞窟の中に海水が入るので、昔は旧4月〜10月の間、岩屋本宮の神様を山の上の御旅所(奥津宮)に移していたと伝えられています。

 洞窟が一部崩れるなど、安全のため1971年から1993年まで閉鎖されていましたが、今は藤沢市の管理の下、通路や照明が整備されて見学できます。入洞料(大人500円)を払うと、手持ちのロウソクを貸してくれます(繁忙期を除く)。季節によって営業時間が異なるのでご注意。
 照明が薄暗く、天井は低いところもありますので、注意して進みましょう。

 第一岩屋と第二岩屋があり、第一岩屋(奥行152メートル)の一番奥には本宮跡があり、その先は富士山の人穴に通じているという伝説があります。途中にはたくさんの石仏が並んでいます。

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 第二岩屋(奥行56メートル)の奥には、暗闇に龍神様の像が置かれています。手を叩くと照明が光る仕組みで、2回手を叩いて2回とも光ると幸運が来る、とか。音に反応するので、大きな音でゆっくり叩くのがコツです。

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●江の島は島全体がパワースポット
 江島神社は3つの宮で成り立っています。一番最初の辺津宮でお参りして帰ってしまう人もいますが、3つのお宮、奉安殿、龍宮すべてを参拝することをぜひお勧めします。
 1周すると2〜3時間かかってしまいますが、海を眺めたり、茶屋で休んだりして、ゆっくりリフレッシュ。龍神パワーをいただきましょう。

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 ちなみにこの日はまだ8月で、若いカップルやグループで賑わってました。奥津宮にもたくさんいらっしゃったのですが、皆さん、手にスマホ。そう、ポケモンGOをやっているのです。参拝せずに通り過ぎる若い人も多く、なんだかなーと思いました。
 特に、参道入口の青銅の鳥居のところはモンスターの巣で有名らしく、大勢の人がたむろっている状態。「安全のため夜間はポケモンGOでの島内立ち入り禁止」の貼り紙までありました。マナーを守って楽しく遊びましょう。


江島神社 えのしまじんじゃ
所在地:神奈川県藤沢市江の島2-3-8
電話:0466-22-4020
ホームページ:http://enoshimajinja.or.jp
最寄駅:
小田急線「片瀬江ノ島」駅、江ノ島電鉄「江ノ島」駅、湘南モノレール「湘南江の島」駅
各駅から徒歩約15〜23分

ご祭神:
奥津宮 多紀理比賣命(タギリヒメノミコト)
中津宮 市寸島比賣命(イチキシマヒメノミコト)
辺津宮 田寸津比賣命(タギツヒメノミコト)

受付時間:午前8時30分〜午後5時