【安穏生活・ライフ】
台湾の鬼月
台湾の鬼月
●先祖やいろいろな霊が戻ってくる台湾の「鬼月」
台湾や香港などの中華文化圏では、旧暦7月を「鬼月(クィユェ)」と呼び、あの世から霊がこの世に戻って来て、巷を徘徊すると信じられています。期間は毎年異なり、2016年は8月3日〜31日です。
日本の旧暦7月のお盆のように、7月14日は「中元節」(仏教では「盂蘭盆」)という行事が行われます。元々は道教の行事で、死者の魂を迎え、慰めるものです。家庭だけでなく、会社や商店、官公庁などでも菓子や果物を供え、線香を焚きます。
無縁仏などの魂はこの世に戻ってきても行き場がなく、また、自分の身代わりに現世の人をあの世に引き込むことによって、生き返ることができるため、現世でいろいろと悪さをするのだそうです。そういう霊が家に入ってきたり、悪さをしないよう玄関先にお供えをしてご馳走するのが「中元普渡」で、これが日本ではお世話になっている人に贈り物をする「お中元」になったと言われます。
●鬼月にやってはいけないこと
このように鬼月は霊がうろうろしているときなので、悪い霊に遭遇したり、浮遊霊がついて来てしまうことがあります。そのため、鬼月にはやってはいけないこと(禁忌)がたくさんあります。いくつか紹介しましょう。
・お祝いごとや目立つ大きな行動は控える
引越し、結婚、お店を開く、大きな買物など。
・海、池、川など水辺の近くに行ってはいけない
水辺には水鬼(水死者の霊)がいて、自分の代わりに沈む人間を探しているため、水中へ引き込まれてしまう。
・肩を叩かれても振り返えらない
人の頭と肩にある三つの火が消えてしまうため。他人の肩を気軽に叩かない。もし誰かに呼ばれたら振り返るのではなく、体ごと向くのが良い。
・「鬼」という言葉を口に出さない
霊が呼ばれていると勘違いしてやって来る。その代わり「好兄弟」という言葉を使う。
・夜に口笛を吹いてはいけない
霊は夜の口笛を喜び、その音を辿ってやって来る。同様にフルート、バイオリンも鳴らさない。枕元で風鈴を鳴らさない。
・濡れたままの髪の毛やザンバラ髪で寝てはいけない
濡れたり乱れた状態の髪の毛は、霊に同類と思われ、憑かれやすい。
・夜に服を干してはいけない
干された服を形代にして霊が憑依する。同様に、服を部屋にかけっぱなしにしない(きちんと仕舞う)。
・部屋の中で傘を広げない
あの世へ帰りたくない霊達は、室内に置かれた傘に棲みつく。
・深夜に誕生日パーティをしない
誰にも誘われない霊が参加してしまう。
・深夜にジョギングをしたり、寂しい所で写真を写してはいけない
後ろから霊がついて来てしまう。
・何もないのに壁に寄りかからない
霊は壁の上で休むことが好きなので、寄りかかると霊に乗り移られる。
台湾と日本では事情が異なるので、これらをそのまま信じて禁忌を守ることはできません。日本ではお盆休みに帰省や旅行をする人が多いですが、台湾では、特に中元節のときは出かけること自体が良くなく、旅行する人が少ないそうです。
日本でもお盆期間には「地獄の釜の蓋が開く」と言い、ご先祖様が帰ってきます。怪談は怖い話は夏の定番です。やはり夏はそういう季節なのでしょう。
テレビでは恐怖映像とか心霊スポットでの肝試しの番組をやっていますが、個人的に思うのは、なぜ低級な霊にわざわざ会いに行かないといけないのかなと。憑依されれば体調を崩したり、運気が下がるだけです(そのすべてが霊の仕業ではありませんが)。同じ見えない存在なら、神社仏閣で神様や仏様にお会いした方がよっぽど良いと思うのです。もちろんスリルやドキドキ感はありませんが。(笑)
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