【参拝作法】
絵馬

 来週の3月9日(水)は新月。しかも、昼には日本全国で部分日食が見られます(インドネシアなどでは皆既食)。東京では午前10時12分に欠け始め、11時8分に最大15%が月に隠れ、12時5分に終わります。もっと南の那覇では9時29分に始まり、最大22%が欠けるそうです。
 これからどんどん大きくなっていく新月は、新しい願い事をするのに最適のタイミング。日食のパワーがさらに後押ししてくれそうです。

 願い事といえば、神社に参拝したときに絵馬を奉納する人も多いことでしょう。境内の絵馬掛けには数えきれないほどの願いがかかっています。では、なぜ「絵の馬」なのでしょう?

20160306_P1085437


●生きた馬の代わりだった絵馬
 絵馬の起源は奈良時代までさかのぼります。馬は神様の乗り物(神馬)とされ、古くは神事や祈願の際には馬を奉納しました。しかし生きた馬を奉納するのは大変なので、馬の木像や馬の絵を描いた板を代わりにするようになりました。
 室町時代に入ると絵馬はだんだん大型化し、画家が描いた絵を額縁に入れた「大絵馬」が登場します。豪華な大絵馬を見せるために「絵馬殿」や「絵馬堂」を建てたところもあります。
 個人のためには小型の絵馬もありました。江戸時代には庶民にも広がり、家内安全や商売繁盛など日常的な祈願をするときにも絵馬を奉納するようになったのです。

 元々は馬の絵だった絵馬ですが、さまざまな絵が描かれるようになり、今ではその神社の神使、神紋やモチーフ、縁起物など、その神社特有のデザインが見られます。その年の干支を描いた干支絵馬が人気ですが、正月から春までなどと授与期間が決まっているところも多いのでご注意ください。

 形は社殿をイメージさせる五角形がもっとも一般的ですが、最近では円形や長方形など凝ったものが出てきました。神社側もいろいろ工夫されているようです。

20160306_P2065606

20160306_P1058106


●しっかりと願いを伝えることが大事
 絵馬を書く前に、まず本殿に参拝するのをお忘れなく。
 絵馬は、絵が描いてある面が表面で、願い事は裏面に書きます。決まった書き方はないようですが、今は「願い事」と「氏名・住所」を書くのが一般的です。

 願い事は1枚に1つだけ(たくさんの願い事を一緒に書かない)。
 言葉も「どこでもいいので合格しますように」のような他力本願的ではなく、「○○に絶対合格します!」のように具体的な決意表明、断言がいいといわれます。祈願ですから、はっきりした意思を神様にお伝えしましょう。

 昔は絵馬に自分の名前は書かなかったそうです。氏名と住所は個人情報でもあるので、最近は書くのをためらってしまいますね。
 氏名はイニシャルでもいいそうですし、住所は市町村名までに留めるのがいいかもしれません。神社によっては裏面にステッカーを貼ることができる絵馬もあります。いずれにしても本殿にきちんと参拝していれば問題ないと思います。

 筆記用具は神社に用意されていると思いますが、鉛筆や水性ペンは水に流れたり消えてしまうので避けます。油性ペンでしっかり書きましょう。
 字の上手下手は関係なく、気持ちを込めて丁寧に書くことが大事。もちろん誤字脱字はいけません。

 書いた絵馬は境内の絵馬掛けに結んで奉納します。指定のない木や柵に勝手に結んではいけません。
 絵馬掛けにはたくさんの絵馬がかかっています。絵馬はその個人の願いが込められた神聖なものですので、触るのはできるだけ止めましょう。引っくり返してあれこれ見たり笑ったりするのは問題外です。

 そして、祈願が叶ったときには必ずお礼参りに行きましょう。結果の報告と御礼を伝えるもので、特に決まった方法はありません。お礼参り用の絵馬が用意されていればそれを奉納します。

20160306_P2185684