【開運さんぽ・パワースポット】
沖縄最高の聖地、斎場御嶽

20151004_P9263137


●国家的な神事が行われた琉球王国の聖地
 沖縄に数ある御嶽(うたき=神様がいらっしゃったり降りて来られる聖地)の中でも、琉球王国最高の聖地とされるのが、南城市にある斎場御嶽(せいふぁーうたき)です。

 琉球神話では、日の大神の命令によって、アマミキヨが琉球の地に降り立って沖縄本島を創りました。アマミキヨが創世神、琉球民族の祖霊神と呼ばれる由縁です。
 アマミキヨが創った聖地のうちで主要な7ヵ所を「琉球開闢七御嶽(りゅうきゅうかいびゃくななうたき)」と呼び、その中で最も神聖な御嶽とされるのが斎場御嶽なのです。

 斎場御嶽は知念半島近くにありますが、その東には久高島(くだかじま)が浮かんでいます。ここは琉球王朝時代に神事が行われ、神の島と呼ばれます。
 斎場御嶽はその久高島を遥拝したり、聞得大君(キコエオオキミ=琉球王国の最高神女)の就任儀式など、国家としての祭事が行われました。その際には、久高島からわざわざ白い砂を持ってきて、御嶽全体に敷きつめたそうです。


●斎場御嶽までの道のり
 那覇市からバスで行くには、38番「志喜屋線」に乗り、「斎場御嶽前」で下車します。市内から約1時間。
 ちなみに斎場御嶽と玉泉洞・沖縄ワールド方面の間には直通のバスがなく、乗り換えが必要。本数も少ないので不便です。詳しくは観光案内所などで確認してください。

 現在、斎場御嶽に入るには入場チケットが必要です。チケットは、国道331号沿いにある南城市地域物産館で販売しています。ここには駐車場や売店、観光案内所、トイレもあります。

 南城市地域物産館から道を渡り、郵便局の脇の道へ入ります。のどかな道の両側には、お土産物や飲み物、ソフトクリームなどを売っているお店がいくつか建っています。
 5分ほど歩くと、御嶽の入口となる緑の館・セーファに到着します。

P9263134b

 入場チケットを渡し、まず5分程度の紹介ビデオを見ます。
 予約ガイドのほか、土日・祝日には1時間ごとに定期ガイドがあります(1人300円)。御嶽内は簡単な案内板しかなく、どこでお参りするか分からないところも多いので、ぜひ一緒に回られることをお勧めします。ゆっくり1周して1時間ぐらいです。


●斎場御嶽の6つの神域で祈る
 御嶽の中には6つのイビ(神域)があり、そこが拝所になっています。
 御嶽全体が小高い山の中にあり、拝所は石畳の小道でつながっています。意外と坂は急で、石畳とはいえゴツゴツ、デコボコしているので、足元には注意が必要です。

img355
▲南城市観光協会の斎場御嶽パンフレットより


(1)御門口(ウジョウグチ)
P9263147b

 御嶽内へ入る参道の入り口。右側に、拝所の数を表す6つの香炉が置かれています。ここで一礼し、香炉に向かって参拝をさせていただく挨拶をします。
 香炉はこの後の拝所にも必ず置いてあります。拝所の香炉は大変神聖なもので、神仏と同じ存在です。間違っても、踏んだりいじったりしないようにしましょう。

 琉球王国時代には一般人や男性は御門口前までしか入れず、ここの香炉で御願をしました。
 右手の海には久高島が見え、久高島の遥拝もしました。

 ガイドさんにお参りの言葉を教えてもらいました。声に出しながら、仕事や健康、家庭円満などそれぞれの祈願をするといいそうです。

衆人万人(しゅうにんまんにん)
相性相合(えいすえいごう)
あらち給れ(あらちたぶれ)
 
 実際に声に出すことが大切なようです。観光客が多いとちょっと恥ずかしいですが。(笑)

P9263141b


 琉球王国時代の斎場御嶽は男子禁制でした。今は誰でも入れますが、気をつかうなら、男性は道の左側を歩くといいでしょう。道の中央は神社と同じく、神様の通り道。ただ道は狭く、足元も悪いので無理しなくていいと思います。


(2)大庫理(ウフグーイ)
P9263156b
 
 最初の拝所。大庫理とは大広間や一番座という意味で、聞得大君の就任式が行われました。
 拝所には一段高い場所がありますが、そこに上がってはいけません。お参りはその前に開けた祈りの場(ウナー)で行います。


(3)寄満(ユインチ)
P9263161b
 
 大庫理をぐるりと回ると、二番目の拝所、寄満に出ます。寄満とは王府用語で「台所」で、「果報や五穀豊穣の徳」が寄り集まってくるところという意味。
 ここで祈ると幸せがやってくるそうです。


(4)チイタイイシ(シキヨダユルとアマダユルの壷)
P9263169b
 
 寄満は行き止まりなので、一度道を戻り、大庫理の分かれ道を行くと、大きな2本の鍾乳石の下に2つの壷が置いてあります。これが「シキヨダユルとアマダユルの壷」です。
 巨石の上に生えた木々の根を伝わって水が滴り落ち、壷に溜められます。この水は首里城に運ばれ、占いや儀式に使われました。壺や中の水を触ってはいけません。
 ここには清めの力があるそうです。三庫理に入る前に拝んで身を清めましょう。

P9263171b

P9263174b


(5)三庫理(サングーイ)
P9263192b
 
 巨大な岩が支え合ってつくられた三角形の空間。斎場御嶽の最高のパワースポットです。実際に目にしてみると、岩の巨大さ、三角形の大きさに驚きます。

 奥が拝所で、入って正面が三庫理、向かって右の崖が京ヌ端(チョウノハナ)と2ヵ所あります。それぞれの足元に神聖な香炉が置かれており、それに対して手を合わせます。壁の上を見上げ、神に感謝します。

P9263188b

P9263187b


 今は左手から海に浮かぶ久高島を望むことができ、斎場御嶽のイメージになっています。
 しかし、かつてはそこも壁になっており、三庫理は三方が囲まれ、空だけが開いた空間だったそうです。ノロ(神女)たちは壁の前で天を仰ぎ、空から注ぎ降る力に祈りました。
 つまり、ここは久高島を遥拝する場所ではありません。久高島を見るためには神聖な拝所にお尻を向けることになり、それはあり得ないからです。

 しかし、観光客の皆さんの多くは久高島を写真に撮ることに夢中で、拝所の壁や香炉を気にしません。
 手前の三角形の洞窟で岩に手を当て、なにやら祈っている女性もたくさんいました。残念ながらそこは祈る場所ではありません。拝所できちんとお参りをしなければ、力はいただけない気がします。

 さらに、斎場御嶽は神道の伊勢神宮と同様、国家安泰などを祈る場所です。個人的なお願いをする場ではなく、日頃の感謝を伝えることが大事とも聞きました。
 斎場御嶽は今も聖地であり、祈りに来る人がたくさんいます。ちなみに、アガリマーイなどで正式に礼拝するのは朝。私たちも、できれば午前中に行くといいそうです。
 また、沖縄の人だけでなく、島外からも祈願にやって来る人も多くいます。沖縄のノロの方ではないこともありますのでご注意ください。


(6)ウローカー
 斎場御嶽へ入る前に身を清めた水場。現在、御嶽からは入れません。
 整備が終われば、来年にも公開予定らしいです。


●聖地ならではの注意事項
 斎場御嶽に限らず、御嶽は聖地であり、今も祈りを捧げる人たちがいます。案内所でいただいたパンフレットには以下のお願いが書いてあります。

※敬う心がまえで
 聖地は祈りの場所ということを忘れないで。

※聖地内にあるものを持ち出さない
 石や動植物を記念に持ち帰るのは厳禁です。

※香炉を踏まない、動かさない
 香炉は神聖なものです。足で踏みつけたり、動かすのは厳禁です。

※ガイドがいるところではその案内にしたがう
 独特の価値観や文化を知るためにも解説に耳をかたむけてみて。

※祈りをさえぎるのはNG
 拝みをしている最中の人たちにみだりに声をかけないでください。

※ゴミを出さない、汚さない
 聖地を美しく保てるよう、ご自分のゴミは必ず持ち帰りましょう。


 斎場御嶽は、2000年、首里城跡や今帰仁城跡などとともに「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録されました。14世紀後半から18世紀末にかけて造られた琉球王国の建造物(9ヵ所)です。

 世界遺産に登録されて有名になった反面、来訪者が増え、自然生態系への影響が懸念されるようになりました。マナーの悪い観光客によって聖地が荒らされていると、保護の声が上がっているそうです。
 そこで平成24年度から、聖地としての静寂さを確保し、マナー向上や自然保護を考慮する機会とするため、年2回の一定期間の休息日が設けられています。
 2015年は6月16日(火)〜18日(木)、11月12日(木)〜14日(土)です。来年度からの予定、詳しいことは南城市のホームページをご覧ください。

南城市公式Web 観光情報


斎場御嶽(緑の館・セーファ)
住所:沖縄県南城市知念字久手堅270-1
電話:098-949-1899
入館料:大人200円(高校生以上)
※2016年4月1日以降は大人300円。
開館時間:9:00〜18:00(入館は17:30まで)
定休日:12月29日〜1月3日
ホームページ:http://okinawa-nanjo.jp/sefa/