【参拝作法】
迷惑なお賽銭

 ツイッターでこんなリツイートがありました。

meigenbot@meigenbotter
【拡散希望】厳島神社の亀裂に小銭を差し込むのはやめて下さい。
観光客が次々と硬貨を差し込み、大鳥居の老朽化が進む恐れがあります。
神社が定期的に取り除いても、再び差し込まれてしまっています。
日本が誇る世界遺産をみんなで守りましょう 


 寺社の境内にある池にはよく小銭が投げ込まれていたり、(仏像ではない)ただの像の前にお金が置いてあったりします。仏像展を博物館に観に行ったとき、なぜか小銭が置いてあったことも。
 神社仏閣ですから、そこにあるものはすべて「ありがたい」と思ってお参りしてしまうのでしょうか。誰かがやっているのを見て、「じゃあ自分も」とやってしまう集団心理もあるようです。

 賽銭(さいせん)とは、神仏にお願い事をするお礼として奉納する金銭のこと。奉納するには賽銭箱に入れます。厄除けなどの祈願祈祷や昇殿参拝をする場合は、祈願料(志納料、祈祷料、初穂料、玉串料など)として直接お納めします。

 賽銭箱のないお地蔵様の場合は仕方ないのですが、基本的にお賽銭箱のないところにお金を置いてはいけません。なぜなら賽銭箱以外に置かれたお金は管理できないからです。
 むき出しでお金を置いていたら風で散逸したり、誰かが持っていったりするかもしれません(罰当たり!)。
 池の底に沈んだお金は回収することができません。しかも、水質汚染の原因にもなり、迷惑でしかないのです。
 手水舎の水盤にお金が入っているのを見かけたことも。手水舎は身を清める場所であり、お参りする場所ではありません。逆に神聖な場所を穢す(けがす)行為です。
 厳島神社の話のように、硬貨で大切な鳥居や建物を傷つけることもあります。

 ちょっと話は外れますが、東京は亀戸の亀戸天神社には境内に大きな池があり、たくさんの亀たちがいます。さすが亀戸!と思うのですが、実は神社で飼っているわけではなく、いつの間にか誰かが放したもの。自分が飼えなくなった亀を勝手に持ち込む人が多いようです。
 その人は良かれと思っても、許可を得なかったり自分勝手に行うのは、ただの自己満足でしかありません。

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 もちろん、小銭を池に入れたりする占いなどもあります。
 縁結びで有名な八重垣神社[松江県松江市]には、占い用紙に硬貨を乗せて沈める「鏡の池」があります。紙が沈む時間が早いほど良縁が近いとか。
 イタリアはローマにあるトレビの泉は、後ろ向きにコインを投げて泉に入ると願いが叶うという言い伝えがあり、観光客に人気です。ここでは定期的に水を抜いて、コインを集めて清掃を行っています。コインは管理費に使われ、半分はカトリック系チャリティ団体に寄付されているそうです。
 これらは決められた場所であり、あくまで例外です。

 お参りはご本尊やご祭神がいらっしゃるところでしなければ意味がありません。社殿や本殿にお賽銭をきちんとお納めすれば、それで大丈夫。
 ちゃんと届かないお賽銭は無駄なだけでなく、逆効果であることをお忘れなく。
 誰かがやっていても、分からないことは決して真似しないでください。